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ポルシェ・ボクスターに乗ろう!

 

クレストを掲げる約20年ぶりのニューモデルとして、2座のオープン・スポーツカーがリリースされたのは1996年のこと。それは一連のロードスターブーム最後の大物ともいえる注目のモデルだった。ミドに搭載される水冷フラットシックスは2.5リッター(204ps)、ポルシェ・フリークならご存じのとおり水冷エンジンを搭載する初代911のTYPE996と多くのコンポーネントを共有していた。となると、このモデルは911の単なる廉価版なのか? もちろんポルシェに限ってそんなクルマを作るわけがない。リヤエンジンレイアウトにクローズドボディが基本の911に対して、ボクスターはミドシップレイアウト+オープンボディ。エンジニアたちは911とは異なるこの二つの個性を最大限に活かすことを基本コンセプトにして、ポルシェらしいクオリティを持つスポーツカーに仕立てることに心血を注いだはずだ。つまり、そもそも911とは源流が異なっているのだから、「ボクスターはポルシェのエントリーモデル」などではない。そう、550スパイダーのDNAを継承するもうひとつの“正統派ポルシェ”なのである。
 そして、1999年にはフラットシックスを2.5リッターから2.7リッターにスケールアップ、さらに252psを叩き出す3.2リッターのSが追加設定された。
 TYPE986というコードネームを持つ初代ボクスターが、内外装やパワーユニットなどを刷新して2代目(TYPE987)にスイッチしたのは2004年。240psの2.7リッターと280psの3.2リッターが用意された。さらに2008年の12月にはマイナーチェンジが実施され、フラットシックスは2.9リッターと3.4リッターに進化。前者が2.9、後者がSのネーミングとなる。最大のトピックは、ひと足早く911に採用されていた直噴のフラットシックス+7段PDK(デュアルクラッチ式のセミオートマチック)の搭載だ。いっぽう、ハイパワーのミドシップ・ポルシェをマニュアルで操りたいという方には、2.9/Sともに6段MTモデルも設定されている。
 さて、ボクスターはいまでもソフトトップを採用し続けている生粋のロードスターである。ポルシェが電動開閉式のハードトップではなく幌にこだわるのは、「なるべくオープンで走ってください」というメッセージだと考えられる。だから、試乗の際はぜひ幌を降ろすことをお勧めしたい。年式やトランスミッションに関係なく、街中を15分ほど流しただけでも心躍る爽快感を味わえるはず。たとえ50km/hでも、気持ちよくそして楽しく走れるスポーツカー、それこそがボクスターなのである。PDKでも、ティプトロニックSでも、MTでも、初期型のパワーユニットでも、その本筋が変わることはない。フラットシックス+オープン+ミドシップ、これはドライバーとパセンジャーを瞬時に非日常へと誘うための最も効果的な法則なのかもしれない。手にした人の生活をより豊かで彩りに満ちたものに変えてくれるのだ。
 ボクスターは認定中古車の流通量が豊富なモデル。正規ディーラーの展示場には様々な年式のボクスターが用意されている。予算や好みに合わせてじっくり選んでいただきたい
TEXT:野田義彦
「ボクスターのスポーツカーらしいアングルはこのクオータービュー」
 

「機能的にレイアウトされた仕事場は魅力的」
 
「リアのラゲッジスペースは深さこそ少ないが充分な容量を持つ」

 
「かなり深く使い勝手の良いフロントのラゲッジスペース」