今週の大穴グルマ スポーツカー編
さて、満点に近い評価で1位を獲得したのは、BMW史にその名を刻む名車“Z8”である。価格が云々というより、市場に流通するのが非常に珍しい孤高のロードスターだ。さすがに超高級スポーツカーだけあって、そのプライスタグは1080万円! でも、新車価格が1650万円だったことを考えると買い得と言えるし、それだけ「価値」のある特別なクルマと断言していいだろう。
ご存じのとおり、Z8は1955年にリリースされた“507”の復刻版だ。クリス・バングルが陣頭指揮をとったそのスタイリングは、クラシカルなロードスターの定石どおり、ロングノーズ・ショートデッキに、丸みを帯びたテールラインが特徴。とにかく時を忘れ見とれてしまうほどセクシーなボディを持つ。ただしスタイリングとは異なり中身は最先端の技術が詰まっている。BMWの量産車として、初めてアルミスペースフレーム工法を取り入れたのが最大のトピック。また、フロントアクスルを支えるサブフレームやリヤのマルチリンク・サスペンションなどもアルミ製となり、各種電子デバイスも充実している。
ところで動力性能が気になる方も多いだろう。全長4400mm・車重1630kgのコンパクトなボディに5リッターV8を押し込んでいるのだから期待を裏切らない「速さ」を持っていることは間違いない。このV8はM5にも搭載されている名機。400ps/51.0mkgの強大なパワーとトルクを叩き出すが、ただ速いだけではなく、スムーズさとパンチ力、そして扱いやすさを高次元でマッチングさせて一般のドライバーでも存分に“踏める”ようにしっかり調教されているのだ。決してじゃじゃ馬ではないし、回転フィールに奥深いビート感を持っているのが真骨頂。大人のクルマ好きを虜にしてしまう魅力、いや魔力を持っていると言っても過言ではない。しかもこの名機をMTで操縦できる! これってすごく幸せなことなのである。
スペースの都合で掲載できないのが残念だが、エクステリアと同様にインテリアも実にいい雰囲気を醸しているのもZ8のポイント。取り上げた物件はツートーンのレザーシート(赤と黒)でアナザーワールドを演出している。とにかくぜひ実車を見ていただきたい。1080万円は安い!
映画『007』のボンドカーとしても登場して話題を集めたBMWのラグジュアリー・ロードスター“Z8”。日本で予約受付が開始されたのは1999年のこと。その美しいスタイリングの基本になっているのは1955年にリリースされた“507”だ。その復刻版と考えていいだろう。ただし、クラシカルなボディの中身は当時の最新技術が詰まっていて、アルミスペースフレーム工法を採用して、且つフレームやボディもほとんどがアルミ製となるほか、最新の電子デバイスを満載。また、今ではお馴染みとなっているランフラット・タイヤを初めて採用したのもZ8だった。搭載される5リッターV8とゲトラク製の6段MTはM5の高性能ユニットをコンバートしたものだ。桁外れの動力性能を持っていることは言うまでもないが、スムーズでパワーバンドが広く、エンジンマナーが非常にジェントルなのが特徴。究極の趣味グルマと言っても過言ではないだろう。正規ディーラーの展示場を飾ることが奇跡と言っていいほどの稀少車。
★全長×全幅×全高 4400×1830×1315mm ★車重1630kg ★エンジン 5リッターV8DOHC ★最高出力/最大トルク 400ps/51.0mkg ★トランスミッション 6段MT ★新車価格 1650万円
03-5307-5781
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