カーデザイン至上主義
足グルマこそカッコよさにこだわりたい/第1回
この世界のあらゆる事物は絶えず変化し続け、決して永遠のものではないということを意味する「諸行無常」という言葉があります。ここ数年の間にクルマを取り巻く世界も大きく変化し、大排気量エンジンを積み、高価かつハイパワーなクルマが偉いという従来からある序列や固定概念が意味をなさなくなりました。言わば価値観のリセットが進んだといえ、そのような流れの中で、本当に『自分に似合うクルマ』を求める人が多くなりました。
ファッションやメイクや髪型などと同じように、クルマも“その人に似合うモノ”はさまざま(人それぞれ)だといえ、我々「車 市場」では、幅広い層にヤングタイマー=若い自動車愛好家が気軽に買うことができる安価なネオクラシックカーの購入に関しても声高に推奨したいと思います。
ヤングタイマーは、初度登録から15~30年ほど経過しているクルマのことで、一番旧いモノで80年代後半に発売された国内外の車両といったイメージです。この頃に生産されたクルマといえば、デザイン性の高さや品質のよさをアドバンテージとしていました。簡単に説明すると、いま見ても「カッコイイ」点が特徴です。そこでヤングタイマーのスタイルのよさに大々的に着目した本特集において、車 市場 名車館 編集長の筆者(高桑)が気になるヤングタイマーを毎月ピックアップし、「カーデザイン至上主義/足グルマこそカッコよさにこだわりたい」というタイトルの記事をアップすることにしました。
プジョー 405 SRI-EX ブレークとは?
記念すべき第1回目は、プジョー 405 SRI-EX ブレークをご紹介します。プジョー 405は、1987年にフランス本国でデビューした新世代の中型モデルです。少し前にデビューしていたプジョー205と同じように、ピニンファリーナがデザインした美しいスタイルを有していました。まずエレガントかつスポーティなセダンが登場し、一年遅れでスタイリッシュなブレーク(5ドアワゴン)が追加設定されました。前者のほうでは、走りのよさを重要視したMI16と呼ばれるアグレッシブな快速グレードもラインナップされ、熱きラテン車フリークから注目されました。
405シリーズが日本に導入されたのは、セダンが1989年、ブレークが1991年からです。ブレークのほうは405 SRI-EX ブレークのワングレードのみが上陸し、全車が右ハンドルでした。SRI-EXはサンルーフ等を装備している豪華版で、1992年に実施されたマイナーチェンジによって405のディテールが小変更されてからも、引き続きSRI-EX ブレークが日本で発売されました。
プジョーは、バカンスの本場であるフランスのメーカーです。どうやらフランスでは長期休暇を連
続5週間まで取得できるらしく、日本人とは根本的に異なるライフスタイルを楽しんでいるといえます。そして、驚くべきことにバカンス中は一ヶ月にわたる長期滞在型休暇を満喫する、というのが一般的らしく、そのような文化の中で荷物をたくさん積むことができるステーションワゴンが発展しました。
プジョー 405 SRI-EX ブレークはバカンスの国で誕生したステーションワゴンですから、室内へのタイヤハウスの突出を最小限に抑え、優れたスペースユーティリティを誇っています。荷室がワイドかつフラットであることに加え、リアシートが左右分割式で、大きなテールゲートを装備していることもあり、長くて大きな物も積むことができます。
後期型の排気量2.0L/OHCエンジンを搭載している現車は、本来、14インチの純正アルミホイールを標準装備していますが、ショップのセンス(チョイス)で敢えて15インチの鉄ホイールを履いています。
整備ポイント
プジョー 405に限ったことではありませんが、やはり、ヤングタイマーは部品が少なくなってきています。そのため、よぉ~し、直すぞ!という並々ならぬ熱意を持っているショップは、世界中に散らばった部品を探すことと、無かったら作ることを整備術の理想としています。今回ピックアップしたプジョー 405 SRI-EX ブレークの場合、各部をキッチリ点検整備してからの納車となります。あと、シフトノブが割れてしまっているので、上から革を巻いて補強していることもお伝えしておきます。
プライス&店舗インフォメーション
■プジョー 405 SRI-EX ブレーク
税込車両本体価格:88万6000円
年式:1995年
走行距離:104,600km
車検整備付
修復歴なし
取材協力
GATTINA【ガッティーナ】
住所:〒251-0044 神奈川県藤沢市辻堂太平台2-1-1 フジビュー太平台1F
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営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜・木曜・イベント日
HP:http://www.gattina.net/
文&写真/車 市場 名車館 編集長:高桑秀典