カーデザイン至上主義
足グルマこそカッコよさにこだわりたい/第8回
はじめに/ヤングタイマーとは?
ヤングタイマーは、初度登録から15~30年ほど経過しているクルマのことで、一番旧いモノで'80年代後半に発売された国内外の車両といったイメージです。この頃に生産されたクルマといえば、デザイン性の高さや品質のよさをアドバンテージとしていました。いま見てもカッコよく、しかも実用性が高くって安価な点が特徴だといえます。本特集では、ヤングタイマーならではといえるそれらの魅力に着目し、毎月、車 市場 名車館 編集長の筆者(高桑)が気になるヤングタイマーをピックアップ。記事をアップしています。
「ヤングタイマー」を「実用車」として楽しむ際の注意点について
初度登録から15~30年ほど経過しているので、やはり、ヤングタイマーも年々良質なクルマが減ってきています。ショップ側の立場(視点)から申し上げると、販売車両の仕入れが困難な状況になってきているわけです。クルマに詳しくない方の中には、ヤングタイマーを最新の国産車を扱うような気軽な感覚で足として使用し、保管やメンテナンスも疎かにして、わずか数年で廃車にしてしまう心無い人もいます。ヤングタイマーに対する正しい知識とクルマへの愛情があってこそ「パーツが豊富なクルマは旧くても足になる」という記事が成立するので、これからヤングタイマーをゲットしようと思っている方は少しだけ心して購入に臨んでください。
AMG C36とは?
いまでこそ「Mercedes-AMG」としてメルセデス・ベンツのスポーツ系ブランドとして扱われているAMGですが、以前は独立したチューニングカー・メーカーでした。往時のエピソードを挙げると、1984年に各シリンダーが完全に独立した4つのバルブを持つシリンダーヘッドを開発。当イノベーションにより、エンジンメーカーとなったAMGは、1986年に排気量5.0リッターのV型8気筒エンジンをEクラスのクーペに搭載しました。このクルマは「The Hammer」のニックネームで世界的な名声を博し、特にアメリカではAMG神話の象徴的なモデルとなりました。
さらに説明すると、AMGは1990年にDaimler-Benz AGと協力協定を締結し、メルセデス・ベンツが販売とサービスを行う直営店や、特約販売店の世界中のネットワークを通じてAMGモデルの販売ができるようになりました。この協力協定により需要と顧客支持を拡大することができ、さらに1990年に3番目の工場が稼働し、スタッフも400名に増加。1993年には、協力協定の成果として初の共同開発モデルである「AMG C36」 が発表され、AMGの知名度がさらに高まりました。
AMG C36は、ホワイト・ボディ状態から各部に補強を施すことで、ノーマルのW202型Cクラスとは別次元の剛性を確保。パワーユニットは2.8リッターのボア&ストロークを変更して3.6リッターまで拡大されたAMGの手によるチューニング・エンジン(コンプリート)で、AMG製のC36専用となる高品質パーツで構成されていました。
その結果、AMG C36には最高出力280psを誇る強心臓(直列6気筒エンジン)が与えられ、気持ちよく吹け上がるストレート6と専用設計の足まわりがもたらす珠玉のハンドリングによるバランスのいい走りを楽しむことができました。ちなみに、AMG C36に搭載された今や貴重なノーマル・アスピレーションの直列6気筒エンジンは、AMGがメルセデス・ベンツの一部門となる前に造った最後のパワーユニットです。ある意味、AMG C36は「最後のAMG」とも言えるので、その素性のよさ、走りのよさ、そして、コストパフォーマンスのよさにクルマ好きが大いに注目する日が来るのは間違いないでしょう。W124型500Eオーナーが普段の足として使ってみてもいいのかもしれません。
20年以上にわたってガレージ保管されてきた現車は、日本の厳しい天候でダメになりがちなエクステリアのディテールがしっかり生きており、ブラックレザーとブラックウッドでまとめられたインテリアの状態もすこぶるいいです(天張り純正交換済)。AMGとメルセデス・ベンツの共同開発モデルなので、AMG製のC36専用パーツだけでなく、W202型C280用のパーツを使える部分もあるので、メンテナンスで苦労することはありません。
維持しやすく、しかも「The Hammer」並みに神話性や趣味性が高いともいえるAMG C36を、この機会にゲットしてみてください。
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