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実用車にもなるヤングタイマーはコレ/第9回

実用車にもなるヤングタイマーはコレ

パーツが豊富なクルマは旧くても足になる/第9回

ヤングタイマーとは?

ヤングタイマーは、初度登録から15~30年ほど経過しているクルマのことで、一番旧いモノで'80年代後半に発売された国内外の車両といったイメージです。この頃に生産されたクルマといえば、デザイン性の高さや品質のよさをアドバンテージとしていました。いま見てもカッコよく、しかも実用性が高くって安価な点が特徴だといえます。本特集では、ヤングタイマーならではといえるそれらの魅力に着目し、毎月、車 市場 名車館 編集長の筆者(高桑)が気になるヤングタイマーをピックアップ。記事をアップしています。

「ヤングタイマー」を「実用車」として楽しむ際の注意点について

初度登録から15~30年ほど経過しているので、やはり、ヤングタイマーも年々良質なクルマが減ってきています。ショップ側の立場(視点)から申し上げると、販売車両の仕入れが困難な状況になってきているわけです。クルマに詳しくない方の中には、ヤングタイマーを最新の国産車を扱うような気軽な感覚で足として使用し、保管やメンテナンスも疎かにして、わずか数年で廃車にしてしまう心無い人もいます。ヤングタイマーに対する正しい知識とクルマへの愛情があってこそ「パーツが豊富なクルマは旧くても足になる」という記事が成立するので、これからヤングタイマーをゲットしようと思っている方は少しだけ心して購入に臨んでください。

ルノー 4とは?

ルノー初のフロントエンジン/フロントドライブ車であるルノー 4(R4/カトル/キャトル)は、ルノーの戦後復興の礎となった4CVの市場を受け継いだ貨客兼用大衆車です。1961年に開催されたフランクフルト・モーターショーとパリ・オートショーにおいて、3(R3/トロア)、4、4L(R4L/カトレール/キャトレール)の3タイプが同時に発表されましたが、同年10月に早くもフルゴネット版(F4)がラインナップに加わり、フランスでは4Lが最も一般的な仕様だったこともあり、“カトレール/キャトレール”という呼び名がその後のルノー 4を表すメジャーな通称となりました。

多大なる影響を受けたシトロエン2CVよりも少し安価で、エンジンの排気量が603cc(4/4Lは747cc)だった廉価版のトロアこそ1963年に生産終了となりましたが、1961年にデビューした新型の貨客兼用大衆車はその姿を変えることなく1992年まで生産され続け、813万5424台もデリバリーされました。これは累計生産台数世界第3位という大記録です。

 

ルノー 4の誕生の経緯を記すと、こういうことになります。戦後、次第に人々の生活が豊かになり、自動車のユーザーは愛車に多用途性を求めるようになりました。しかし、当時のルノーが得意としていたリアエンジン/リアドライブ方式のクルマはテールゲートを設けることができず、室内空間こそ広かったものの、荷室が小さかったこともあり、カスタマーのニーズに余すところなく応えられていたわけではなかったわけです。

そこでルノーは時代の要求とマッチさせるために4CVの後継モデルにはマルチパーパス性を盛り込むことを決定し、フロントエンジン/フロントドライブ方式を採用して、広大な荷室を設けることにしました。その結果、リアに大きな開口部を持つワゴン的ボディの貨客兼用大衆車が完成することになり、このパッケージがその後の小型車のスタンダードになっていきました。つまり、ルノー 4は、牧歌的ですが、他社に先駆けてフロントエンジン/フロントドライブ+テールゲートを採用したエポックメーキングなクルマだったといえます。

ルノー 4が開発されていたとき、すでにブルージーンズが世界的に流行していましたが、ルノーは今後の時代に対して順応性のある、多目的かつ経済的で世界中の人々に愛されるクルマを造りたいという想いから、その商品性の高さを参考とし、カトル/キャトルの開発コンセプトは「ブルージーンズのようなクルマ」でした。デビュー時のキャッチコピーは「どこへでも乗って行ける旅行鞄のようなクルマ」で、安価ながら使い勝手がよく、しかも丈夫で長持ちだったルノー 4は、見事に時代とマッチ。瞬く間に人々の足として普及していきました。

本稿のテーマは「実用車にもなるヤングタイマーはコレ」なので、ルノー 4は実用車ではないでしょ!と思う方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。プリミティブでシンプルなルノー 4は、軽くて小さくて非力なクルマですが、走行シーンや天候を気にすることなく走ることができます。こういうクルマが持つ普遍性こそが実用的であるともいえるのです。もともとは大衆車なので、パーツの入手で困ることはありませんが、見つけるまでに時間がかかる部品があることも確かです。そのあたりのことを踏まえた上で、このクルマの実用車としての奥深さを楽しんでください。

 

□プライス&店舗インフォメーション

■ルノー 4 GTL

税込車両本体価格:78万円

国内初登録:1992年6月

走行距離:132,000km

車検:なし

修復歴なし

特記事項:4ナンバー登録、キャンバストップ、ドアスピーカー、クーラー

■販売店舗

Garage ENZO 本店

住所:〒300-1211 茨城県牛久市柏田町3041-3

TEL:029-878-0911

営業時間:10:00~20:00(平日)/11:00~18:00(祝祭日)

HP:http://www.enzo.co.jp

文&写真/車 市場 名車館 編集長:高桑秀典

 

 

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2020年04月01日 00:03に投稿されたエントリーのページです。

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