それほどモータースポーツに興味がない方でも「シルエット・フォーミュラ」という言葉を一度ぐらいは耳にしたことがあるでしょう。1976年にスタートしたグループ5カテゴリーに属するシルエット・フォーミュラによるレースは、今でも世界のモータースポーツを統轄しているFIAが“メイクス・チャンピオンシップは市販車に近い形のマシンで争われるべき”だと提案したことから始まりました。
外観を可能な限りオリジナルに近い姿にとどめることで、観客にマシンに対する親近感を抱かせよう……とFIAは思ったわけですが、その作戦は大成功で、見慣れたスタイルおよび聞き慣れた車名を持つモンスター・マシンがサーキットを疾駆する姿に当時の若者たちは一喜一憂しました。
日本においては、ちょうどスーパーカーブームが全盛を極めた時期とシルエット・フォーミュラによるレース活動がシンクロしたこともあり、主役級のポルシェ935は子供たちのヒーローとして君臨し、国産車に目を転じてみれば、日産が妙に頑張っていた(!)といった印象がありました。
セリカLBをベースとして、シュニッツァーが開発したトヨタ・セリカ・ターボも一世を風靡した感がありますが、やはり、バイオレット、ガゼール、ブルーバード、シルビア、そして、スカイラインといった馴染み深いクルマたちを超ド派手なシルエット・フォーミュラに仕立て上げてしまった日産のテンションの高さは、他のメイクスを圧倒していたといえるでしょう。いやはや、イイ時代でした。
スカイラインほど外観が洗練されていなかったブルーバード・ターボ・シルエットは比較的通好みのマシンだといえるでしょう。
シルビア・ターボ・シルエットはブルーバードよりもメジャーな存在でした。スカイライン同様こちらもファンが多いマシンです。