まずは、メルセデス・ベンツのラグジュアリーSUV“GL550 4マティック”を紹介しよう。メルセデス・ベンツ製SUVの旗艦となるGLクラスが上陸を果たしたのは2006年10月のこと。全長5.1m・全幅1.95mという堂々たるボディに3列シートレイアウトを持つ贅を尽くした室内がトピック。ガラス・スライディングルーフとパノラミック・リアガラスルーフ、ナッパレザーシートをはじめ本革をふんだんに使用したダッシュボードやドアトリム、ボタン操作だけで折りたたみ可能となる3列目の電動可変式シートやフルフラットになる2列目シート、自動開閉テールゲートなど、とにかく装備はライバルたちを寄せ付けない充実ぶり。メルセデス・ベンツがどんな人のためにこのSUVを作ったのかは走らせなくてもわかるはずだ。
取り上げた2年落ちの物件は、走行1.5万kmで848万円という信じられないプライスボードが掲げられている。編集部でリサーチしてみたのだが「1年前なら間違いなく1000万円は超えていたでしょう」と話すディーラー担当者が多かった。何と言っても新車価格は1300万円を超えていたのだから、走行距離が少なく一番人気のアラバスターホワイトをまとう個体ということを考察すると当然の解答だろう。
GL550 4マティックは近くのコンビニまで買い物に行くための足グルマではない。普段はガレージの奥にしまっておいて、たまの休日に、5.5リッターV8に火を入れてリゾートまでロングツーリングを楽しむ。そんな使い方が相応しい。メルセデス・ベンツが特別な人のために仕立てた特別なSUVだ。オーナーに至福の時間を提供してくれることは言うまでもないだろう。
Mクラスよりひと回り大きなボディを持ち、7人乗りの3列シートを備えるGL550 4マティック。豪華な装備が特徴なのは前述したとおりだが、387ps・54.0mkgの強大なパワーとトルクを叩き出す5.5リッターV8ユニットや最先端の電子デバイスにより悪路の走破性も非常に高いレベルにあることも見逃せないポイント。さらに、サスペンションには車高調整可能なAIRマティックを採用、オンロードからオフロードまで安全で快適な乗り心地と優れた走行安定性を実現している。まさにスリーポインテッドスターを掲げるに相応しいSUVと言えるだろう。
GL550 4マテイック(2007年)★全長×全幅×全高 5100×1955×1840mm ★車重2530kg ★エンジン 5.5リッターV8DOHC ★最高出力/最大トルク 387ps/54.0mkg ★トランスミッション 7段AT ★新車価格 1280万円
03-5479-1700
何と言っても最大のトピックは搭載されるスポーティ指向のパワーユニット。ここで取り上げるxDrive35iの心臓部は、2006年に335iクーペに積まれてデビューしたパラレル・ツイン・ターボとダイレクト・インジェクションを組み合わせた3リッター直6ユニット。充分なパワーとトルクを叩き出すことは言うまでもないが、軽快でスポーツカー顔負けのシャープなレスポンスを持つ。また、車速に応じてギア比を連続可変制御するアクティブ・ステアリングによるステアリングの高い応答性、そしてダンパーの減衰力とスタビライザーの強さを連続可変制御するアダプティブ・ドライブが標準となったことで高速コーナーを安定した姿勢でしなやかに走り抜ける足。そう、GL550 4MATICが高級感と快適な乗り心地に軸足を置いたメルセデス・ベンツらしいSUVなら、X6はスポーツカーなみの運転する楽しさを味わえるBMWらしいSUVと言っていい。X6のキャラはとにかく振り切っている。
さて、取り上げた1年落ちの物件は、走行距離が僅か7000kmで766万5000円。新車同様と言っても過言ではないミントコンディションのxDrive35iなのだ。いくつかのディーラーに訊いてみたところ、リリースされたのが2008年の初夏という新しいモデルだから、1年前なら新車とほぼ同じ価格が付いていただろうとの答が返ってきた。
名機と呼ばれる “N54B30A型”の新しい楽しみ方を提案するxDrive35i。世界屈指のストレートシックスを味わうだけでも766万円の価値はあるだろう。しかも、いまの時代にあって強烈な個性を主張するクルマは貴重な存在。趣味グルマとして隠し持つには最高のSUVだ。
スポーツ・アクティビティ・クーペというコンセプトを掲げて2008年に登場したX6。張り出した前後のフェンダーと鋭くシャープなフロントマスク、またいまにも飛びかかってきそうなワイドで低い姿勢など、ステイリングの雰囲気もスポーツカーそのもの。搭載されるパワーユニットは、4.4リッターV8ツインターボと3リッター直6ツインターボの2種で、ともに2トンを軽く超える巨体を軽快に引っ張る実力を持つエンジンだ。スタイリングと同様に、走行感覚もまさにスポーツカー。高速コーナーでも、SUVの常識を越えるシャープさと軽快感を披露してくれる。市場に媚びない振り切ったキャラを持つスポーツSUVと言っていいだろう。
X6 xDrive35i(2008年)★全長×全幅×全高 4885×1985×1690mm ★車重2250kg ★エンジン 3リッター直6DOHC ★最高出力/最大トルク 306ps/40.8mkg ★トランスミッション 6段AT ★新車価格 851万円
0120-730-328
また、実際に走らせてもアウディらしさを強烈にアピールするのもQ7。V6/V8ともに、全域にわたって緻密なまわり方をするユニットで、そのフィーリングは高級スポーティ・サルーンに近い。そのスタイリングから想像できるように、基本的にオンロード、特に高速走行を重視していて、しなやかなフラットライドで快適なクルージングを楽しめるように躾けられている。スポーティな走りと快適な乗り心地を高性能ユニットと最先端の電子デバイスを駆使しながら、高次元で両立させているのがアウディらしい。大柄なSUVながら、見ても走らせても泥臭さが微塵もないのである。
ご紹介する物件は、512万円のプライスタグを付けるホワイトボディがいい雰囲気を醸す走行2.45万kmの3.6FSIクワトロ。新車価格を考えれば、オプションのマルチメディアインターフェース(MMI)を搭載している個体なのだから非常に買い得だ。いくつかの店舗に訊いてみたところ、1年前なら少なくとも600万円は超えていただろうと話す。
Q7は、ボディサイズや燃費のことを考えると、気軽にコンビニなどへ買い物に行くために使う足グルマには不向きかもしれない。しかし、たまの休日にガレージから引っ張り出し、ロングツーリングを楽しむには好適なSUV、いやGTカーとなる。こういう雰囲気のクルマは乗る前の儀式を忘れてはならない。そう、洗車を自分の手で行い内外装を磨き上げることだ。20-30年前、輸入車オーナーの誰もがそうしていたように……。
メルセデス・ベンツ、BMW、VWなど、ドイツの強豪たちが次々とプレミアムSUV市場に打って出るなか、ひとり精悍の構えを崩さなかったアウディが、最後の大物として2006年にリリースしたQ7。日本には3.6リッターV6を搭載する3.6FSIクワトロと4.2リッターV8の4.2FSIクワトロが導入された。最大の特徴は全長が5mを超える堂々たるボディ。そのため室内は広大で、3列目のシートにもミニバンなみの居住空間が用意されている。V6/V8ユニットはともに巨体を軽々と引っ張る高い性能を持ち、その加速力はスポーツセダンに引けを取らない。まさに世界屈指の高級SUVと言っていいだろう。
Q7 3.6FSIクワトロ(2007年)★全長×全幅×全高 5085×1985×1740mm ★車重2300kg ★エンジン 3.6リッターV6DOHC ★最高出力/最大トルク 280ps/36.7mkg ★トランスミッション 6段AT ★新車価格 743万円
03-5752-4455